3.手間を減らす ‐ 面倒なカロリー計算はしない

 生活習慣病を治すために必要なカロリーを減らすときには、生活環境・リズムに合わせて減らしやすい食事から減らすようにします。
 さらにこのページでは、細かいカロリー計算をせずにカロリーを減らす方法を考えます。面倒なカロリー計算をしなくてすめば、途中で挫折することがありません。
 この方法でカロリーを減らしても、体には栄養素を別の栄養素に合成するしくみがあるので、栄養不足の問題が起きることはありません。

カロリー計算はいらない?

はい。カロリー計算をしなくても、ふだんの食事で摂っている量はだいたい同じなので、カロリーも一定になっています。このことを利用すると、面倒なカロリー計算をしなくても、生活習慣病を治すために必要な食事に変えることができます。

 太っていても痩せていても、体重の変わらない人は、カロリー計算をしなくても毎日だいたい同じくらいのカロリーを摂っています。健康診断のとき体重が1年前とほとんど変わらないのは、そのため(カロリーがだいたい同じであるため)です。

カロリー計算は不要

 同じくらいのカロリーを摂っているのは、「生活リズムや環境」そして単に習慣で、食事を用意するときの食材とその量や、外食のときに注文する料理の量が決まっているからです。

 量が決まるとカロリーも決まる(比例する)のは、サンドイッチを2パック食べるなどして、食事の量を2倍にするとカロリーも2倍になることから分かります。

 ここで「食事にはご飯やおかずなどいろいろな種類の食品があるのに、量が2倍だとカロリーも単純に2倍になるのか?」という疑問が出ると思います。確かに、食品の種類によって脂っこいものやさっぱりしたものがあって、そのカロリーには幅があります。
 しかし、野菜や海藻(50mlで15kcal前後)を除いて、ご飯などの穀類や、肉・魚・卵・大豆製品などは大きく見ると同じカロリー(50mlで80kcal前後)なので、1食で摂るいろいろな食品を平均すると、詳しく計算したときと大きな違いはなくなります。さらに、1ヶ月や1年といった一定の期間で見ていくとその違いはあまり考えなくてなくてよくなるでしょう(このようにして、健康診断の体重は毎年同じになります)。

 現在の食事のカロリーが同じくらい、ということは次のことでも分かります。
 すぐ後のイラストで「間食型」や「軽食型」などの食事の中から、あなたがいつも摂っている食事(例えば朝食)を探してみてください。その食事が間食型だと分かれば、

  その食事(朝食)の量が、軽食型や定食型の量とは違う、

と区別できたことになります。これは、食事の量、そしてカロリーが、いつもだいたい同じになっていることを表しています。

 このようにして、いつも同じくらい摂っている

  現在の食事のカロリーから、
 (生活習慣病を治すために)減らすカロリーだけ減らした
  「これからの食事」を、

このページの最後で、計算して表示します。その量のとおりに食べることによって、細かいカロリー計算をしなくても、いつも同じくらいにカロリーを減らした食事が摂れるようになります。

 3つの型、すなわち間食型、軽食型、定食型のイラストを見て、食べる食品ではなく、量が大切だということを確認しておきましょう。

間食型
240kca(3単位)前後
軽食型
480kcal(6単位)前後
定食型
960kcal(12単位)前後
トーストとカフェオレ
ごはんとみそ汁
コンビニの食品
主婦の「残り物で昼食」
かき揚げそば
ファストフード
夕食(晩酌つき)
とんかつ定食
・スナック菓子1/2袋
・かけそば(うどん)
・ロールパン+牛乳+
 バナナ1/2
・カステラ1切+
 コーヒーまたは紅茶
 (砂糖、クリームなし)
・カップラーメン1個
・ラーメンまたは
 てんぷらうどん
・焼きそば
・お好み焼き
・スパゲティ
・屋台・居酒屋メニュー
・ラーメンライス
・スパゲティ+
 シーフードサラダ
・チャンポン+酢豚+
 デザート
・ハンバーグステーキセット
・幕の内弁当
・まぐろの鉄火丼膳
食べない
0kca前後
(飲み物だけ)
白菜の漬物
 野菜
ジュース
さけおにぎり
から揚げ
こんぶ豆
ごはん
肉じゃが
フライド
ポテト(s)
チーズ
バーガー
コーヒー
焼き魚
ビール
とうふ
もずく
かぼちゃ
ごはん
ぎょうざ
マカロニ
 サラダ
きんぴら
 ごぼう
とんかつ
ごはん
みそ汁

 間食型は240キロカロリー前後の、かなり軽い食事です。具体例はトーストとカフェオレの朝食や、ごはんと味噌汁だけの朝食(卵や魚が付くと軽食型になります)、コンビニで買ったおにぎりと野菜ジュースなどです。

 軽食型は、480キロカロリー前後の、主婦がお昼に軽く食べるような食事が代表です。ただし、品数があるとき、量が多くなるときは定食型になります。他に、かき揚げそば、少な目のファストフードなどです。

 定食型は960キロカロリー前後で、お昼の定食や幕の内弁当、一般的な夕食などが相当します。

 この他に、「食べない」という場合があります。人間の体には、エネルギーを貯えておいて必要なときにそれを使うしくみが備わっているので(どの食事でも減らせる?)、「食べない」ことは問題ありません。また、生活リズムや環境で決まった減らしやすい食事のときに「食べない」ですますことはつらくありません。カロリーが少ない飲み物で済ましてもかまいません。

 表にでてくる「単位」というのは、糖尿病の食事指導で使われる目安で、卵1個のカロリー(80kcal)が何個分あるかということです。卵1個の大きさと重さも目安になっています。しかし、イラストの品数や見た目の多さで理解できれば十分です。

 1番減らしやすい食事が昼食で、定食型の仕出し弁当を食べていた人の食事から減らすカロリーが480キロカロリーだったときの例を挙げておきます。
 このペ−ジの最後で、「現在の食事の型」を入力すると、昼食を軽食型に変えるという結果が出ます。それまでの仕出し弁当を、軽食型のかき揚げそばやサンドイッチなどに変えればよいことになります。これだけで、「食事から減らすカロリー」が実行できて、病気が治る体重までひとりでに減っていきます。

栄養のバランスは大丈夫?

はい。人間の体には、栄養素を別の栄養素に(例えば、蛋白質をブドウ糖に)合成する能力があるので大丈夫です。

 人間の体に蛋白質からブドウ糖を作るしくみがあることはあまり知られていないので、意外だという人が多いと思います。
 以前から学校の家庭科では、赤の蛋白質は体を作る、緑の野菜は体の調子を整える、黄色の炭水化物(脂肪)は熱を作る、と1対1の対応で習ってきたからです。ですから、炭水化物を摂らないと低血糖になる(実際にはなりません)とか、アミノ酸飲料やプロテイン系の補助食品は筋肉にしかならない(実際には、有効な運動をしないと最後は脂肪になります)、と思われています。

 実際、人間の体は、蛋白質を作っているアミノ酸という分子から、ブドウ糖を作っています。空腹なときでも血糖値が維持されるのは、筋肉の蛋白質が分解されてブドウ糖ができるから(分解された蛋白質は次の食事で摂った蛋白質で元に戻ります)(どの食事でも減らせる?)、ということは、医学(生化学)の分野では以前から分かっていたことです。
 また、余分な蛋白質や炭水化物は体脂肪として貯えられ、エネルギーが必要なときに使われます。このように、どの食品を摂ってもちゃんとエネルギーが作られるしくみがあるのです。

 ビタミンについても、アルコールを大量に飲む場合などを除いて、ほとんどの人は心配要りません。実際、生活習慣病の指導で食べ物を調べたときに、野菜不足などかなり食事が偏っている人にもビタミン不足の症状である皮膚や神経の症状が見られることはありません。

 このような人間の体についての正しい知識から見ると、健康や病気を治すために必要でない「栄養のバランスを取る」という考え方で、かえって病気になったり、病気を治すチャンスをなくしたりしている人が多くいます。
 バランスを取ろうとして1日に摂る食品が増えてカロリーも増えてしまう人や、今の食事のバランスが取れていないということから先に進めず(バランスを取ってからでなければ)、カロリーを減らせない、という人たちがそうです(あなたはその中の一人ではありませんか?)。

必要な蛋白質は摂れる?

はい。摂れます。体が必要とする蛋白質の量(必要量)を満たすために必要な肉や魚の量はそう多くありません。穀物にも蛋白質が多く含まれているからです。

 蛋白質を作っているアミノ酸の中には、体の中で作ることができない必須アミノ酸というものがあるので、食事から摂らなければいけません。しかし、穀物はかなりの量の必須アミノ酸(比較的良質な蛋白質)を含んでいるので神経質になる必要はありません。

 江戸時代の農民はあまり魚を口にしなくても(肉食は禁じられていました)、1升飯(1日に10合=1.5kg、5000kcal)を食べるという方法で、ほとんど穀類だけから必要な蛋白質とエネルギーを摂っていたといわれています。
 現代の生活ではこれほどエネルギーを使わないので、蛋白質は肉・魚類からも摂る必要があります。ただ、その必要な量は50kgの女性で、1日当たり、魚1切れ+豆腐1/4丁+卵1個くらいです。

 カロリーを減らすとき、蛋白質の必要量さえ摂っていれば、筋肉や内臓の量が減ることはなく、脂肪だけが落ちてきます。「身」はそのままで、付いた脂肪のコートを脱いでいく、とたとえることができます。

脂肪のコートを脱いでいく

 反対に、肉や魚類などの蛋白質だけを摂り、炭水化物を全く摂らないときは、蛋白質の必要量を含めて、何の問題もありません。
 ほとんど穀類の採れないモンゴル高原や極北地方で暮らしていた人たちや、現代でも(穀類を摂らない)低炭水化物ダイエットをしている人たちが、脳にブドウ糖が運ばれなくなり、低血糖で倒れているということはありません。
 お分かりのように、蛋白質からブドウ糖を作っているからです。

間食型
240kca(3単位)前後
軽食型
480kcal(6単位)前後
定食型
960kcal(12単位)前後
トーストとカフェオレ
ごはんとみそ汁
コンビニの食品
主婦の「残り物で昼食」
かき揚げそば
ファストフード
夕食(晩酌つき)
とんかつ定食
・スナック菓子1/2袋
・かけそば(うどん)
・ロールパン+牛乳+
 バナナ1/2
・カステラ1切+
 コーヒーまたは紅茶
 (砂糖、クリームなし)
・カップラーメン1個
・ラーメンまたは
 てんぷらうどん
・焼きそば
・お好み焼き
・スパゲティ
・屋台・居酒屋メニュー
・ラーメンライス
・スパゲティ+
 シーフードサラダ
・チャンポン+酢豚+
 デザート
・ハンバーグステーキセット
・幕の内弁当
・まぐろの鉄火丼膳
食べない
0kca前後
(飲み物だけ)
白菜の漬物
 野菜
ジュース
さけおにぎり
から揚げ
こんぶ豆
ごはん
肉じゃが
フライド
ポテト(s)
チーズ
バーガー
コーヒー
焼き魚
ビール
とうふ
もずく
かぼちゃ
ごはん
ぎょうざ
マカロニ
 サラダ
きんぴら
 ごぼう
とんかつ
ごはん
みそ汁

あなたの生活習慣病を治すために必要な食事から減らすカロリーは、生活リズムと環境で決まったもっとも減らしやすい食事から減らします。(先に入力してください)

現在の[1番]減らしやすい食事の量がどの型に近いか、から入力を始めてください。
案内に従って[決定]ボタンを押していくと、「これからの食事の型」が表示されます。

現在の食事[減らしやすい順序]
?食[?番] ?食[?番]

  ↓
押して
ください
3. これからの食事の型
?食 ?食
?型 ?型
これからの食事の型 B
?食 ?食
?型 ?型
これからの食事の型 C
?食 ?食
?型 ?型

「これからの食事の型」は、その食事を準備するときの面倒さ(食堂や買い物の行きにくさ、作りにくさ、作ってもらいにくさ) も考えてA・B・Cのうちから選びます。
面倒だが頑張ってやろう、とすると挫折の原因になるからです。

1. 今の食事から
  減らすカロリー
??kcal
入力終わり。最後は結果表示
4. 挫折 を減らす